デジタル終活のやり方ー60代からのSNS・サブスク・パスワード整理

スマホとノート、ドライフラワーが並ぶベージュ系のフラットレイ写真 介護・見守り

今日やるべきことは3つだけです。使っていないSNSアカウントを整理する。契約中のサブスクを洗い出して解約リストを作る。パスワードを「誰が」「どうやって」引き継ぐか決める。この3つを決めておけば、残される家族が困ることはぐっと減ります。

前回の記事「60代ひとり暮らしのエンディングノートー母の介護で学んだ『残される側』のリアル」では、母の世代にはなかった「デジタルのページ」に少しだけ触れました。今回はそのことについて話します。

なぜ今、デジタル終活なのか

60代のスマートフォン利用率は78.3%、70代でも49.4%です(下記出典リンク記載)。もうスマホは一部の人の持ち物ではありません。

それなのに、備えは追いついていません。遺族の約2割が「故人のスマホのロックを解除できなかった」と答えた調査もあります(下記出典リンク記載)。月額約1,000円のサブスクが解約できず、請求が半年続いたという事例も報告されています。デジタル終活の不安で一番多いのは「パスワードが分からず家族が困ること」で、38.0%です(下記出典リンク記載)。

私の失敗談ー解約ボタンが見つからなかった数分間

偉そうに書いていますが、私自身、つい先日サブスクの解約で1人で格闘しました。

使っていないアプリを解約しようと、右上の「三」をクリック。「マイページ」「設定」、目についた項目をひと通り開いても、解約らしき項目がどこにもありません。

「よくあるお問い合わせ」も、「お問い合わせ」フォームも、返ってくるのは「該当する項目はありません」の表示だけ。数分間、画面を行ったり来たりする。

AIに質問し回答で「ブラウザから公式サイトを開いてログインし、上部の『三』から『ご契約内容の確認・変更』へ」。アプリの中にはなく、ブラウザ版ホームページのメニューにひっそりとあったんです。

不親切で疲れました。でも同時に思ったんです。「今の私だから、AIに聞いて たどり着けた。判断力が落ちたら無理だ」と。

書くこと①SNSアカウントの整理

Facebookはプロフィールの設定から「追悼アカウント設定」で、管理を託す人をあらかじめ指定できます。Instagramも設定内の「アカウントの追悼」から申請できます。LINEは公式のヘルプセンターから、遺族による削除申請の手続きが案内されています。X(旧Twitter)には追悼アカウントの仕組みがなく、遺族が削除を申請する窓口を確認しておく必要があります。

自分が今どのSNSに登録しているかを書き出すだけで十分です。何年も開いていないアカウント、登録したこと自体を忘れていたアカウント。探してみると、思った以上に出てきます。使っていないものは、この機会に削除。放置されたアカウントは、乗っ取りの入り口にもなりかねません。

書くこと②サブスクの棚卸しと解約リスト

洗い出す場所は3つだけ。クレジットカードの明細、銀行口座の引き落とし履歴、スマホ決済アプリの支払い履歴です。この3つを見比べれば、契約中のサブスクはほぼ漏れなく見つかります。⚠️各月、半年、年払いと支払い方法も多様なので注意が必要。

リストに書く項目はシンプルでいい。サービス名、月額(だいたいでOK)、解約方法、次回更新日の4つです。私の失敗談のとおり、「アプリの中に解約ボタンがない」サービスは意外と多いもの。見つけた解約方法もメモしておけば、家族が同じ格闘をせずに済みます。

書くこと③写真・データの置き場所

スマホ本体、パソコン、クラウド、外付けハードディスク。データが複数の場所に散らばっていませんか。

特に注意したいのがクラウドサービスです。無料プランには保存期間や容量の制限があるものもあり、契約が止まればデータごと失われる可能性があります。「思い出の写真がどこに、何年分あるか」を書き出しておくだけで、残される側の負担はぐっと軽くなります。

私自身、大事な写真はAnker製SanDiskの外付けストレージに保存していて、書きながら「そういえばこれも書いておかないと」と気づきました。クラウドだけでなく、こうした物理的な保存先も忘れずにリストに入れておく必要があります。

書くこと④パスワードの残し方ーお盆の5分間

私は今、1つのアプリ(1Password)にすべてのパスワードとサブスクの情報をまとめています。紙に書く方法もありますが、変更のたびに書き直す手間があり、生きている間に見られる不安も残ります。1つのマスターパスワードを家族と共有する方法を決めておけば、サービスごとに書き直さずに済みます。

お盆に子どもが帰省したとき、この話をしました。「全部1つのアプリにまとめてある」「そのアプリを開くパスワードだけ知っておいてほしい」。それだけ伝えるのに、5分もかかりませんでした。

故人アカウント管理連絡先(iPhone)や非アクティブアカウント管理(Android)というOS標準の引き継ぎ機能もあります。仕組みは前回の記事に書いたので、そちらをご覧ください。

なお、パスワードを家族に伝えること自体に法的な効力はありません。あくまで「アクセスできるようにする」ための備えです。遺言や任意後見のような法的な効力を持たせたい場合は、別の手続きが必要になります。

頼れる家族が近くにいない、という方もいると思います。その場合は、パスワード管理アプリの緊急アクセス機能(信頼できる人を指定し、一定期間後に自動でアクセス権が渡る仕組み)を使う方法もあります。

まとめー今日からできるデジタル終活チェックリスト

□ 登録しているSNSを書き出し、使っていないものは削除する
□ カード明細・引き落とし・決済アプリの3つでサブスクを洗い出す
□ サブスクの解約方法をメモしておく
□ 写真・データがどこに、どれだけあるか書き出す
□ パスワードの引き継ぎ方法を1つ決める
□ 決めたことを、家族に一言だけでも伝える

母の介護では、”物”を探すのに苦労しました。私の場合、探すものが”データ”に変わっただけで、家族を困らせる可能性は同じだと気づかされます。前回の記事に書いた気持ちの部分とあわせて、読んでいただけたら嬉しいです。

出典リンク

今から考えておきたい「デジタル終活」|国民生活センター(2024年11月20日発表)
「親のスマホが開かない」実態調査|LDT株式会社
デジタル終活に関する意識調査|終活協議会(2026年2月実施)