実家じまい費用は数十万円ー通い片付け体験談と業者の判断基準

介護・見守り

実家じまいを始めました。

きっかけは、お仏壇です。お盆までに仏壇を長男宅へ移すことになり、それに伴って、誰も住まなくなった実家を片付けることになりました。

「実家じまい」という言葉は知っていましたが、実際にやってみると、想像をはるかに超える日々でした。これから同じ道を通る方のために、体験と、かかった費用まで正直に書き残しておきます。

片道1時間半、「通い」の実家じまい

私の家から実家までは、片道1時間半。往復するだけで3時間です。

仕事の休みの日に、猛暑の中を通いました。着いた頃にはすでに汗だく、帰る頃にはくたくた。作業に使える時間は思ったより短く、それでも行けば行ったで、時間はあっという間に溶けていきます。夢中になって、気づけば食事を抜いていた日もありました。

実家じまいの大変さは、片付けそのものの前に、まず「通うこと」にある。これが最初の実感です。遠方の方が業者に一括で頼む理由が、初日でよく分かりました。

待っていたのは、いくつもの「山」だった

家の中で私を待っていたのは、「山」でした。

広告の紙や日めくりの紙をはじめとする古紙の山。きれいに洗われたプラスチックの食品容器の山。もらいものの試供品の山。ペンなどの日用品も、引き出しを開けるたびに出てくる、かなりの量でした。

母は晩年、こうした物を大切に集める人でした。当時は困惑するばかりでしたが、山を前にすると、これはこれで母の暮らしの跡なのだと、複雑な気持ちになります。

そして現実問題として立ちはだかったのが、ゴミの分別です。実家の地域のゴミ集積場は、ゴミの種類ごとに出せる曜日が決まっています。通いの身では、その曜日に合わせて出すことができません。仕分けても仕分けても、出す先がない。袋の山だけが積み上がっていく。これが実家じまいの、意外と語られない壁だと思います。

手が止まる品、悩む品

物量との闘いの合間に、今度は「手が止まる品」が現れます。

鍵のかかった引き出しがありました。鍵はどこを探しても見つからず、 長男に頼んで開けてもらうことに。母の介護のときも「どこに何があるか分からない」ことに苦労しましたが、実家じまいでも同じ壁に当たるとは思いませんでした。

着物。祖母の米寿のお祝いの、古いアルバム。こうした品は、ゴミ袋に入れるわけにもいかず、かといって全部持ち帰ることもできず、手が止まり、悩み、その日の作業がそこで終わってしまうこともありました。

食器類も、普段使いに季節の器を合わせると多量で、そして重い。ベランダには土の入った植木鉢の山があり、この猛暑に土を出すだけでも一苦労でした。植木鉢の土は普通ゴミに出せない地域が多いので、これも悩みの種になります。

これから実家じまいをする方に、ひとつだけ先にお伝えするなら――思い出の品は、最初に手をつけないこと。心が消耗して、その日が終わります。まず「明らかなゴミの山」から崩して、アルバムや着物は箱にまとめて最後に回す。私はこれに気づくまで、何日か遠回りをしました。

結局、廃品回収業者に頼みましたーかかった費用

ゴミの日に合わせて出せない。持ち帰るにも量が多すぎる。体力も時間も限界。

結局、残った物の処分は廃品回収業者に依頼しました。かかった費用は、母がひとり暮らしをしていた家ひとつ分で、数十万円です。

正直、大きな出費です。でも、あの物量と分別の壁と往復3時間を思えば、必要なお金だったと今は思っています。これから実家じまいをする方は、「最後は業者に頼む可能性がある」前提で、数十万円の心づもりをしておくと慌てません。

振り返って、自分でやるか業者に頼むかの分かれ目は、この4つだと感じます。

  • 通える距離か(片道1時間半は、正直ぎりぎりでした)
  • ゴミ出しの曜日に合わせられるか(通いではほぼ無理です)
  • 体力と時間に余裕があるか
  • 季節(真夏と真冬は、作業できる時間が半分になると思ってください)

もし時期を選べるなら、猛暑の実家じまいはおすすめしません。私はお盆という期限があったので選べませんでしたが、体にこたえました。

そして気づいた。「私の家も、物が多い」

実家じまいを終えて、自分の家に帰って部屋を見回したとき、思わずため息が出ました。

私の家も、まだ物が多い。

URに引っ越すとき、断捨離したつもりでした。でも、ダメですね。あの「山」を崩した日々を思い出すと、この量でも、いつか誰かの手を煩わせるのだと分かります。片付けながら何度も思ったのです。「これ、いる?いらない?」を判断するのは、残された人にとって、体力だけでなく心を削る作業なのだと。

だから私は、処分を始めることにしました。実家じまいは、母の家の片付けであると同時に、私自身の生前整理の始まりになりました。

何が大事でどこにあるかを残しておく話は、エンディングノートの記事に書きました。物を減らすことと、書いて残すこと。この二つはセットなのだと、身をもって学んだ夏です。

おわりに

仏壇は無事、お盆までに長男宅へ移りました。今まで母が大切にしていた、ご先祖様をお迎え、感謝の気持ちと共にお送り、来年に心を寄せます。

実家じまいは寂しさがないと言えば嘘になります。でも、山を一つ崩すたびに、母の暮らしをひとつずつ見送っているような、そんな時間でもありました。

これから実家じまいをする方へ。一日で終わらせようとしないこと。食事を抜かないこと。思い出の品は最後に回すこと。そして、業者に頼ることをためらわないこと。体験者からお伝えできるのは、この4つです。

どうかご自身の体を、いちばん大切に。