60代女性の働き方 – 週4日・曜日固定・派遣にした私の”細く長く”働く方法

暮らしとお金

私の周りには、80代の先輩たちがいます。

労働時間は短いものの、まだ現役で働かれている。仕事終わりには趣味を楽しみ、薬は飲んでいるけれど走れるし、冗談もツッコミも面白い。スマホの操作だって速いのです。10代から90代まで、いろんな世代のコミュニティをお持ちで、私にとって最高のお手本です。

「ああなりたい」と思う一方で、私自身はそこへ一直線に進めたわけではありません。今日は、61歳で一度倒れた私が、試行錯誤の末にたどり着いた「細く長く働く」形についてお話しします。

61歳、体が先に悲鳴を上げた

61歳のとき、職場は人員不足で、私は明らかに働きすぎていました。

ストレスからか、不眠が続きました。それでも休日には、片道1時間半、往復3時間かけて母のもとへ通う日もありました。有給休暇は取りづらい雰囲気で、休む選択肢は事実上ありませんでした。

そんなある日、突然、爆音の耳鳴りに襲われたのです。

一旦休養したものの、回復には至らず、仕事を退職しました。老後の計画は立てていたつもりでした。でも、人生は計画どおりにはならないものです

しばらく通院を続け、眠れるようになったときは、心からホッとしました。ただ、キーンとした耳鳴りは、今この瞬間も止んでいません。もはや私のBGMです。

元の体には戻れない。それでも、生活のためには働かないといけない。ここから、私の働き方の再設計が始まりました。

たどり着いた形① 週4日・曜日固定の「2日働いて1日休み」

今の私の働き方は、週4日、1日8時間、曜日固定です。

具体的には、2日働いて休み、また2日働いて休み――という週3日休みのリズム。これを曜日固定にしてもらいました。

やってみて分かった、このリズムの良さは二つあります。

一つは、「あと1日働けば休み」という状態が続くこと。連勤が最長でも2日なので、疲れもストレスも溜まる前にリセットされます。たとえ有給が取りにくい職場でも、これならやっていけます。

もう一つは、曜日が固定だと覚える仕事の内容も限定されること。60代の記憶力と真正面から戦わず、仕組みで補う。これも立派な健康法だと思っています。

たどり着いた形② 初めての派遣会社

この働き方を実現するにあたって、人生で初めて派遣会社を利用しました。

正直、60代で派遣というのは想像していませんでした。でも実際に使ってみると、「週4日・曜日固定」といった条件を最初に決めて仕事を探せるのは、体調と相談しながら働きたい世代には合理的な仕組みでした。条件交渉を自分で職場に切り出さなくていい、というのも気が楽です。

同世代で「もう無理はできないけれど、働き方を変える方法が分からない」という方には、選択肢のひとつとしてお伝えしたいです。

たどり着いた形③ バイク通勤をやめて、徒歩10分

通勤も変えました。

何年か前の通勤時、忘れられない場面に遭遇しました。片側1車線の道路で、前を走っていたバイクが路面凍結で転倒し、滑って反対車線まで飛び出し、あわや対向車にひかれそうになったのです。

このところの気象の変化の激しさもあって、運転そのものに自信がなくなっていた私は、バイク通勤を諦めることにしました。そして選んだのが、徒歩10分弱の職場です。

実は1年前の私なら、「職場と家が近いなんて、公私混同になりそうで絶対に嫌」と思っていたんですよ。それが今では、徒歩10分弱の通勤に幸せを感じています。春とは違う、とてもいい声で鳴く鶯を聞きながら歩く朝。価値観は、変わっていくものですね。変わっていく自分を、今は楽しんでいます。

お金の面――63歳からの年金が支えてくれる

「時間を減らして、生活は大丈夫なの?」と思われるかもしれません。

私の場合、63歳からは特別支給の老齢厚生年金に加え、企業年金も支給されます。正社員時代のボーナスがなくなった分の補填になるので、この働き方でもやっていけそうだ、と見通しが立ちました。

ここで、同世代のみなさんにひとつだけ大事なお知らせを。この「特別支給の老齢厚生年金」は、生まれた年度と性別によって、65歳より前から受け取れる年金です(私の世代の女性は63歳から。対象になるかは生年月日で異なります)。

そして、これも自分で請求しないと受け取れません。しかも、65歳からの年金と違って「後回しにすれば増える」仕組みはなく、請求が遅れても増えない上に、時効(5年)を過ぎた分は受け取れなくなります。「65歳まで待つもの」と思い込んで請求していない方が実際にいらっしゃるそうです。誕生月の少し前に緑色の封筒(年金請求書)が届いたら、忘れずに手続きしてください。

働きながら受け取る場合、給与と年金の合計が一定額を超えると年金の一部が調整される仕組みもあるので、気になる方は年金事務所で確認を。私のような週4日勤務なら、まず心配のない範囲です。

おわりに  細く、長く、自分に合わせて

振り返れば、61歳の耳鳴りは、体からの「その働き方は続かないよ」という警告だったのだと思います。

時間を減らす。連勤を減らす。通勤の危険を減らす。減らすことは後退のようでいて、実は「長く働き続けるための投資」でした。

80代のあの先輩たちも、きっとそれぞれの試行錯誤を経て、今の心地よい働き方にたどり着かれたのでしょう。私もあと20年、変化を楽しみながら、より自分に合うように整えながら、細く長く働けたらと思います。

同じように、働き方の岐路に立っている同世代の方へ。体の声は、無視すると音量を上げてきます。どうか小さな音のうちに、聞いてあげてください。