杖・歩行器・車椅子でも自立できる暮らしの整え方
引っ越し先で警察官の訪問を受けた体験から、ひとり暮らしの防犯で知っておきたいこと——巡回連絡の仕組み、本物の警察官の確認方法、なりすまし詐欺への注意点をまとめました。
あの日、突然の訪問者
引っ越して半年程が過ぎたある日、「ピンポーン♪」とインターホンが鳴りました。画面に映ったのは男性の警察官。子どもから「むやみにドアを開けるな」と言われているし自分も母にそう言っていたのにと、とっさに身構えました。
それでも、近所で何かあったのかもしれない、ひとりでいるからこそ危ない場合もあると思い直し、インターホン越しに応答しました。警察手帳を提示され、名乗られたうえで「巡回連絡で回っています」とのこと。
警察官の訪問は六十数年生きてきて初めてのことで、不安からつい口調がきつくなりました。ドアチェーンをつけたまま、「身分証を写真に撮って子どもに送り、了承を得たい」とお願いすると、「悪用のおそれがあるのでそれはできません。そこの交番から来た〇〇です。〇〇警察署に電話して確認してください」と言われ、自分で調べた番号に電話をかけて確認。やり取りの末、チェーンを外して対応しました。
「最近、警察官を名乗る物騒な事件の報道が多いから、気をつけているんです」と伝えると、苦笑いをされながらも在宅状況や家族構成などを尋ねられ、「巡回連絡カード」に住所・氏名と緊急連絡先を記入して渡しました。「ご存知の様な犯罪に注意されてるし、今のところ気をつけることは特にありません。内容の変更があれば交番でできます」とのこと。暑いなか一軒一軒回る姿に、頭の下がる思いでした。
ひとり暮らしでも、これほどの安心が得られるのだと知り、ここを終のすみかに選んでよかったと改めて感じました。安全・安心は、日々の警察官の方々の地道な活動に支えられていると実感した出来事です。
「巡回連絡」とは? 警察官が家庭を訪問する理由
突然警察官が自宅を訪ねてくると、多くの方が戸惑うと思います。これは「巡回連絡」と呼ばれる、警察の正式な活動です。
警視庁によると、巡回連絡とは「交番や駐在所の警察官が、家庭や会社などを訪問し、意見や要望を伺ったり、身近で発生する犯罪の予防や事故防止に役立つ情報を知らせる活動」。警察法第2条に定められた警察の責務にもとづき、地域住民の安全・安心を守ることを目的としています。
初めての訪問時には「巡回連絡カード」への記入をお願いされます。住所、氏名、家族構成、緊急時の連絡先などを記入するもので、火災や地震などの災害時や、外出先での事故発生時に、迅速な連絡や安否確認に役立てられます。
記入はあくまで任意です。答えたくない項目は無理に書く必要はありません。
本物の警察官かどうかを確かめる方法
「警察官を名乗る人が来た=安心して家に入れてよい」わけではありません。確認する際のポイントは次の通りです。
- インターホン越しに対応する。 ドアを開ける前に、必ず相手を確認します。
- 警察手帳の提示を求める。 所属(警察署名や交番名)、階級、氏名を確認します。
- 自分で調べた電話番号にかけ直して確認する。 相手から伝えられた番号ではなく、自分でインターネットなどで調べた代表番号に電話をかけ、実在する担当者かを確認します。
- ドアチェーンをつけたまま応対する。 確認が済むまでは外さなくて構いません。
- 身分証の写真を送るよう求められても応じない。 本物の警察官は基本的にそうした求め方はしません。
警察官をかたる詐欺にご注意ください
近年、警察官や公的機関の職員を名乗る「なりすまし詐欺」が全国で相次いでいます。典型的な手口は、電話で「キャッシュカードが不正に使われている可能性がある」と告げて自宅を訪問し、カードや暗証番号を書いたメモを封筒に入れさせ、目を離した隙に別の封筒とすり替えるというものです。
警察や金融機関などの公的機関は、次のことを絶対に行いません。知っておくだけで詐欺の手がかりになります。
- SNSやビデオ通話で連絡してくる
- 電話やSNSで身分証の画像を送るよう求める
- 現金やキャッシュカードなどを預かろうとする
- 暗証番号を尋ねたり、封筒への封入・押印を指示したりする
- その場でオンライン送金や振り込みを求める
少しでも不審に感じたら、その場で対応を決めず、家族や自分で調べた警察署の窓口に相談しましょう。
ひとり暮らしで訪問者に対応するときのチェックリスト
- 知らない訪問者には、まずインターホン越しに応対し、すぐにドアを開けない
- ドアチェーンをつけたまま話し、確認が取れるまで外さない
- 身分証や所属は必ず提示してもらい、自分の目で確認する
- 相手の言う連絡先ではなく、自分で調べた公式の電話番号に確認の連絡をする
- 個人情報の記入は、答えたくない項目を無理に書かなくてよいと知っておく
- 少しでも不安なときは、家族や近所の交番に相談する
- あらかじめ家族と「こういう訪問があったらこう対応する」と決めておく
杖や歩行器、車椅子を使いながら暮らしている方は、ドアチェーンの位置やインターホンの操作しやすさなど、住まいの中の「対応のしやすさ」もあわせて見直しておくと安心です。
まとめ:交番が近くにあるという安心
巡回連絡は、警察官が地域を一軒一軒回り、住民の安全と安心を支えるための活動です。訪問を受けたときは、インターホン越しの確認、警察手帳の提示、自分で調べた番号への確認電話を徹底すれば、落ち着いて対応できます。ひとり暮らしだからこそ、こうした備えを知っておくことが、日々の安心につながります。そして今年も女性警察官の方が巡回連絡で訪問してくださいました。警察官の方々に感謝申し上げます。

